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== 梅染街 ==

LovePotion3.5%〈1〉(楔波×和磨)

*同性愛描写(♂×♂)
今年もバレンタイン物書いてみました。
そーいや最近3人でのエロは多かったけど、楔波×和磨は少なかったなと思い。
媚薬の正体は、後編にて!


指先だけ冷えたままでも、屋上で浴びる太陽は至って心地良い。
最近、随分と荒れていた風も機嫌を直したようだった。
冬の一日の中で、最も暖かく穏やかな時間帯。

気が抜けてしまいそうな程の青によって映し出される。
黒を纏って座り込む影が、二つ。

楔波とこうして過ごす事など珍しくない、寧ろ日常と化している。
呼び出しも待ち合わせもせずに逢える場所。
なのに、和磨にとって二人きりが妙に落ち着かない理由は一つ。

「……此れ、やろ?」

楔波の言葉と渡された箱が、見透かされていた証拠。
本日は、2月14日。


「あー……、何で楔波って、そうやって……」
「俺が、何やって?」
「もう良いや……ありがと、嬉しい。」
「……ん。」

和磨が赤い顔で口篭もる理由までは如何だろうか。
いつも通り、短い返事の無表情。



楔波が薄い板チョコを選んだのは去年の話。
あの時は、渡す事しか考えてなかったものだから予想外だった。
此れで二度目になってしまった不意打ち。

和磨の方、と云えば、チョコレートケーキを焼く予定は夜。
イベント前の雑貨屋は今年も連日女性客で賑わう。
休日の方が却って忙しいものだから、昨日まで余裕があまり無かった。
材料を買って帰るだけで精一杯。
決して、不精で後回しにしていた訳でなく。

ただでさえ、毎日三人分の生活を支えている居候の身なのだ。
バイトに関しては半分趣味なので愉しみ。
貴重な時間が削られてしまうくらい仕方あるまい。

「だから今は無いんだけど、ごめんね。」
「ええよ、別に。」

楔波に言い訳したところで、そもそも気にも留めてないか。
帰宅したら夕飯にも腕を振るおう。
嬉しさで張り切る気持ちも一入、箱の存在感に頬が緩む。

本命でも義理でもない事なら知っている。
チョコレートをあげる日としか楔波は認識してない、らしい。
黒い包装紙に深紅のリボン。
バレンタインフェアの店頭、此の侭の状態で並んでいた物の一つ。
大して悩みもせず手に取ったのだろうけど構わない。

和磨の為に用意してくれていたと云う事。
ただ、それだけが紛れも無い真実。


「……待てや、和磨。」

大事に抱えた箱が腕から消える。
仕舞い込もうとした矢先、楔波に取り上げられた。

「食うならさっさと開けろや。」
「でも、あの……、やっぱり取って置きたいんだけど、駄目?」
「そう言って冷蔵庫入れたままにする気やろ、お前。」
「あぁ、覚えてたんだ……」

和磨が何日も食べないでいたのは去年の話。
贈った方としては、苛つき混じりにもなるだろう。

粗雑な遣り方で呆気なく破かれる包装紙。
後で必ず、と和磨が言う前に楔波自ら爪を立てて引き裂いた。
信用されてないのか、急かされているのか。
あまり機嫌を損ねさせたくないので文句は呑み込む事にする。
放られたリボンだけ救い、大人しく待つだけ。


辞書よりも少々大きな箱が裸にされる。
無数に詰まった中身は、金と赤の洒落た包み。
此方も邪魔そうに一つ剥がす音。

「早く食え。」

硬い指が差し出した、艶めくチョコレート。
甘さどころか意味も無い気紛れ。
和磨だって勿論解かっていても嬉しい事に変わりない。
向かい合う距離を一歩詰めて、唇を開いた。

口一杯になってしまう大きめの粒。
歯を立てた途端、チョコレートの殻から"中身"が溢れた。

「っん……!」

死角へ置かれてしまったので箱はよく見えなかった。
正体は表示されていた筈。
鼻が利く方なので、匂いで気付かなかった訳じゃなくとも。


「美味いか?」
「うん……、でもさ、此れって……」
「ほら、まだあるで。」
「あ、ちょっと……もー……」

言葉を紡ぐ前にチョコレートで塞がれる。
咀嚼して呑み込めば、味わう間も無くまた次へ。

「……苦い。」

先程、美味いと頷いた事は嘘じゃないけれど。
頬張る合間に和磨が呟く。
顎を掴まれては、チョコレートに溺れそうになってしまう。


もう幾つ目だか判らない、新たな一粒。
数える事なら途中で諦めた。
舌の温度で柔らかくなっても表面だけ。
溶け切るまで待ち切れず、今度も大人しく奥歯で砕く。

流れ出す液体と潰れる果実。
どちらも甘さより深い苦味で口腔を痺れさせる。

チョコレートが絡み付いた果実の味がする。
蜜の混ざった液体に漬けられ、瑞々しさが保たれたまま。
噛み締めれば、滑り落ちた雫が喉を灼く。
鼻腔を抜ける鮮烈な香り。

媚薬なんて飲んだ事無いけど、多分こんな味。

食べろ、と云うのは命令よりも餌付け。
和磨で遊んでいるだけなのだろう、要は。
拒めない事を知りながらの。

平静な金色が微かに笑う。
此処に居ない、彼と血を分けた片割れを思わせて。


「ああ、もう……何で楔波って、そうやって……」
「だから、何やって?」
「時々だけど紫亜君に似てるよね……、意地悪なとこ。」
「似てるんは当たり前やろ、双子やし。」


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