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== 永桃学園日誌 ==

ジキルとハイド(リリィ+和磨×深砂)

設定は此方から

*下ネタ注意
和磨はアホだと証明されました。


夜空広がる屋根から降りると、寮の冷たい床も幾分マシな物に思える。
尤も、寒さは無くなったのではなく和らいだだけなのだが。
日付が変わった時刻の廊下に足音一つ。
階段で別れた深砂の背中を見送り、リリィは自分の部屋へ向かって歩いていた。
一本道には窓越しの冴えた月明かりだけで充分。

学生は忙しいらしく、レポート提出やら作品製作やらが重なって密談は久々。
終わって早々、メールを寄越したのは深砂の方だった。
毎日遅くまで作業が続いたのだから夜くらいゆっくり眠りたいだろうに。
其れと云うのも会っていない間にも悩み事が増えたそうで……


と、不意に訝しむ顔付きで足を止めた。
寝静まった筈の闇の中に小さく唸る、聞き慣れた機械音。

其れだけならば大して気に留めなかった。
加えて、啜り泣く声まで聴こえてしまったのだから薄気味悪い。
けれど此の程度で怖気付くような者など寮内には一人として居ない、リリィも含め。
何にせよ通り道なのだから嫌でも正体を知る事になるか。
念の為、コートのポケットに突っ込んでいた空き缶を指先で確かめた。
投げ付ければそれなりの役には立つかもしれない。

数歩先、覗き込んだのは暗い洗濯室。


「こんな夜中に誰だよ……、何やってんの。」
「ッうぉあああっ!!」

探り当てた照明スイッチにより、一瞬で広がった白い光が目を焼く。
同時に上がった男の悲鳴で耳まで焼ける錯覚。
目が慣れず細かな火花が散る中、深く眉間に皺を寄せて声の主を確認する。
モスグリーンのジップパーカー。
寝癖の金茶の髪に、赤い目。
振動する洗濯機の前で蹲っていた気配は和磨だった。

「し、心臓止まったじゃないかッ、殺す気ー?!」
「いや、お前の事愛してないし俺。」

即答しながら左右に振る手で否定の動き。
リリィの言葉の意味を考える余裕など今の和磨には微塵も無さそうである。
驚きのあまりに顔は引き攣り、肩で息をしている程。
息が整ったら延々と抗議が続くのであろう。
ところが和磨が口を開けた瞬間、ピー、と笛に似た洗濯終了の合図。
乾いた布を取り出すと、さっさと背中を向けて出て行こうとする。
どれだけ手早くしても大きさからして一目瞭然。
腕に抱えたのは、白いシーツ。

真夜中、シーツ、洗濯機、其れが若い男となれば合点が行く。
ああ、何だ、そう云う事か。
導き出された解答に、思わず口許で笑ってしまった。

「ち、違っ、これは飲み物零して……て、何を笑っているんだいッ?!」
「だから、零したんだろ……、白いのを。」

目どころか、羞恥と怒りで顔まで赤くなった和磨などリリィの知った事ではない。
言い訳が決め手でとうとう思い切り笑う。
夢精してシーツを汚してしまったのだろう、要するに。

「邪魔したな、おやすみ。」
「ちょ、訳くらい訊いて行きたまえっ!」
「何だよ五月蝿ぇな、髪引っ張んじゃねぇよ。」
「…………ぅッ……」
「まぁ良いけどよ……うん、聞いてやろうじゃねぇの。」
「…………それはどうも。」

其れきり言葉に詰まってしまったものの、解放する気配の無い手。
手元に水鉄砲が無いのが悔やまれる。
無理やり引き剥がすと髪まで抜けそうで、仕方なくリリィも腹を括った。
新たに疑問も増えた事だし。


遡って少し前、此処よりも上の屋根での事。
レモネードを煽っては溜息を吐いていた深砂との会話を思い出す。

「和磨君がさせてくれないんだよね、最近。」

自分がしている事は、正確にはセックスではなく調教だと深砂は言う。
優しく傷付けられて和磨は達し、彼女は肉体的より精神的に満たされれば良いらしい。
だからこそ、不満を持つとしたら普通なら深砂の方だろうに。

「何、ご無沙汰なん?つーか、最近ってお前ら忙しかったからじゃねぇの?」
「そうなんだけど課題が片付いてからも変なの、避けられてるってゆーか。」
「なぁ、原因って若しかして俺か?」
「違うっぽいよ、訳訊いたら”僕は深砂ちゃんに触っちゃいけないんだ”ってボソッと。」
「意味判んねぇ……」
「うん、私も全然判んない。」

何だ、こいつの方も相当溜まってたんじゃねぇかよ。
それにしても避けるくらいなんて余程の事なのだろうか。


「その……、罪深い夢を見てしまって……」

床に座り込んだ和磨は指を組んで、所謂、懺悔の姿勢。
立ったまま壁に凭れたリリィも囁きに近い声へと耳を傾ける。
打ち明ける相手は神でも仏でもない、親切の振りして聞き出そうとの考え。

「どんな夢よ、深砂以外とヤッちまったん?」
「いや、深砂ちゃんだったけど……」
「なら良いじゃねぇかよ。」
「ん?て、呼び捨てにしないでくれるかな。」
「……ああ、悪い、槌谷か。」
「そうだよ、槌谷深砂、僕の王子様!」

何故リリィが深砂を名で呼んだのかまでは少しも和磨は気付いて無い。
其の王子様と俺はチューする仲だっつの。
舌を出したのは心の中だけで、話の続きを促す。

「床に押し倒して、服破いて、ぐちゃぐちゃに……」
「されたん?」
「その逆……僕が、深砂ちゃんに、したの。」
「へぇー?」

返答の意外さに、思わず素になってしまう。

「もう今週で3回目だよ……本っ当にリアルだったんだからねッ!」
「……ああ、そんくらい良かったんだろ?」

原因は飽くまで予測なのだが会話が成り立たないので仕方ない。
多忙により肌を重ねていなかった所為で、行き場を失った欲求は夢に現われたか。
潜在意識とは云えどもショックと罪悪感の大きさは相当だったらしい。
それで本物に触れられなかったと云う訳。

……くっだらねぇ。

声に出さず呟いたので聞こえまい。
夢なんて不可抗力だろうに、そんな事で勝手に悩んでたのかよ。
底無しのアホだ、こいつ。

確かに深砂の言った通り姫君ではなく奴隷と云うか、犬だ。
少しも可愛くはないけれど項垂れた耳と尻尾まで見えそうである。
ああ、でも、嗅覚が犬並じゃなくて良かった。
今まで愛しい王子様と会ってたなんて知ったら、きっと噛み殺されるだろう。


「けどよ、お前の王子様はもっとでかい牙持ってるぞ。」
「…………は?」


慰めもフォローも罵りも含めて、掛ける言葉なら幾らでもある。
生憎と自分は其処まで優しい男ではない。
役割があるとするならば、事実を深砂に伝えるくらいだろう。
自分と同じ反応なのは十中八苦。

さて、どんな報復を受けるやら。
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