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== 梅染街 ==

ベガの抱く花〈1〉(楔波×和磨×紫亜)

*同性愛描写(♂×♂)
此方も花火ネタで双子君達と和磨組。
お祭り行くのも考えたのですがね、そっちはそっちで妄想広がる…

挿絵(桜桃さん宅)


マンションの窓の外、宵の口の夜空を花火が彩っている。

最初に気付いたのは楔波だった。
まぁ当然と云えるかもしれない、普段から空ばかり見ているのだから。
向日葵にでもなるつもりだろうか。
太陽に恋をして、空を見詰め続けた水の精が姿を変えた花。

そんな冗談は喉元で呑み込んだ。
御伽噺になんて興味無さそうだから、と云うのは本当の理由じゃない。

楔波は誰も愛していない、僕の事も。




重い訳じゃないけど流石に缶三本は持ち難い。
冷蔵庫から出したばかりなので、冷気の塊で素肌が痺れそうになる。
腕の中で液体が揺れるのを感じながら足早に台所を後にした。
誰も居ない部屋を抜けてベランダへ。

空いた方の手を伸ばす前に、内側から窓を開けてくれた。
白いレースカーテンの向こうに人影二つ。
夜の空気に舞い散る光を浴びているのは、黒と木蘭色。

「はい、飲みながら観よ?」

足を踏み入れ、両隣の楔波と紫亜君に各々の缶を渡す。
僕が間に立つのも定位置になりつつある。
やっと自由になった手の雫を払って、僕もカクテル缶を開けた。
薄い金属の擦れる音。
泡立ったカシスオレンジを一口飲んでから空を見る。


鮮やかに咲き誇る花は一瞬。
大きく開いては、消えないうちに次々と光の種が打ち上がる。


高級マンションの一室、ベランダは見晴らしも最高。
桜街からの花火でも良く見える。
お祭りやってるのって今日だっけ、そう云えば。
けど、メインが花火観賞だったら空に近い此処は特等席。
それに出掛けるの面倒とか言いそうだし……

そこまで考えて、当人に視線を移した。

夜を照らす物はもう一つ、まだ低い月。
其れは、黙ったまま空を眺める金色に似ている。


相変わらず表情を持たない横顔。
何を考えているのか、何も考えていないのかすら、読めない。
楔波は少しも此方など見ずに、手摺に悠々と頬杖。
時々思い出したようにコーヒーを飲みながら。
僕の事、興味無いとか好みじゃないって言ってた唇で。

いや……今でも、そうなのかな……

求めるから応じてくれているだけ、かもしれない。
飽きられたら、何も残らず終わる?


何か声を掛けてみようとすると舌が渇いて、飲み物を傾ける。
缶で口が塞がるからますます無言。
落ち着かないのは僕だけなんだろうけど。
そうしているうちに中身は減って、次第に酔いが回ってくる。

頭の芯が表面だけ溶けたような軽い眩暈。
思考も緩やかに狂い出す。



出逢ってから、キスしてから、気付けば一年以上。

一緒に居るのが普通になっても、僕を如何思っているのか分からないまま。
訊きそびれた言葉はいつも口の中。
舌で転がしながら留めるには苦くて、それでもまだ吐き出せない。
楔波の返事によっては苦いどころじゃ済まなくなる。
甘い期待なんてしちゃいけない。
思い上がりそうになるたびに言い聞かせて。

お気に入り、とは紫亜君からの伝で聞いた。
でも、此の言葉にはどのくらいの価値があるんだろう。
結局は玩具でしかなかったら、何の意味も無い。


初めて逢った時の冷たい態度と金色の眼。
棘を突き刺された気がして、強がって素っ気無い言葉を返した。

僕があの嘘を吐いてから、気付けば一年以上。
本当は最初から惹かれていたくせに。
深い場所で抜けないままの棘が、血の代わりに涙を滲ませる。


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