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== 梅染街 ==

花盛り鍋(瑠夜×和宏)

設定は此方から

5月に桜桃さんお誕生日なのでお祝いSSです!
瑠夜×和宏でご希望との事により、ほのぼの路線で。
一つの話として書くのは初めてのカプでしたが楽しませていただきました。
ラブに近いライクは和むv
あと、いつも長ったらしいタイトルになるので今回は短くと(笑)。

では、改めて桜桃さんおめでとうございますっ!


昼休みの学校とは、授業時の引き締まった空気が消散してしまっている。
開始数分でも随分と緩むのだから切り替わりの早い事だ。
ほとんどが弁当を広げて、和気藹々と賑やかな時間。
けれど、教室の声は響いても遠く。

空腹を感じながらも和宏と瑠夜は秒読みする数字を待つばかり。
電子レンジの窓の中、美味しくなる幸福。



使われていない家庭科室は二人きりだと余計に広く感じる。
幾つか教室を隔てて恐ろしく静か。
物を食べるには最適な場所なのだが、人が寄り付く事は少ない。

基本的に、弁当とは冷めても美味い品を詰める物。
でも出来るなら温かい物が食べたい。
最近、昼休みを此処で過ごしているのはそんな理由。
折角電子レンジがあるのだ、使わないなんてあまりに勿体無い。


「鳴るのが怖くて直前に止めてしまう、て事無いですか?」
「そう?俺は待っている間いつもワクワクするけど。」

扉の前に張り付いて並んだ顔は明かりに染まり、二人共オレンジ色。
青白い瑠夜も今なら血色が良く見える。
和宏につられて口許が綻んだ瞬間、デジタルの数字が0を示した。
ピー、と静寂を劈く甲高い音。
ほんの短い時間でも待たされると云うのは妙に長く感じる。
扉を開けて、やっと食事時。

温まった弁当箱を和宏に渡し、自分も密閉パックを取り出す。
本日の瑠夜の昼食が此方。
いつもの弁当箱では持って来られない物。
何が入っているか和宏も気になっていたらしく、眼鏡越しの瞳がちらり動いた。

透明な蓋から見える中身。
其れは、ご飯でもパンでも麺類でもなく。

「おでん?」

和宏がきょとんとするのも無理はない。
大根に卵に薩摩揚げに……、熱い汁に浸って、容器の中。

一言の後、ツッコミに迷っているらしく黙り込んでしまった。
言いたい事は分かっている、考え込むのもご尤も。
如何考えても弁当向きの品ではない。

「昨日は雨降って寒かったもので……、夕食の残りです。」
「うん、確かに寒かったけど……え、でも、汁は?大丈夫なの?」
「此の密閉パック強力です、逆さにしても何も問題ありません。」
「……瑠夜さ、お前、時々突拍子も無い事するよな。」

呟いた唇が震えて、吹き出して、とうとう和宏が笑い出す。
こんな妙な事を真顔で説かれたのだから堪るまい。
窓際の席に包みを広げながら透明度の高くなった瞳を細めた。
元から明るい髪色が陽射しを浴び、今は鮮烈な茜。
瑠夜が密かに好きだったりする色。

家庭科室で昼食を過ごす時の席は決まっている。
此処からは、丁度見頃の八重桜と目線の高さが同じになるのだ。

花壇にも鮮やかな色は咲き乱れているが、青空と溶け合う花は視界に一つ。
固まって咲く花は房飾りによく似ている。
細い枝一杯に実った、薄紅をした無数のポンポン玉。
満ちた陽光と渡る風も周囲の新緑を輝かせる。

こんな眩しいくらい晴れた晩春の日、冬の匂いを囲んでいる不思議。
蓋を外せば、閉じ込められていたおでんの熱。

「……真っ白ですね。」

立ち昇る湯気でたちまち曇ってしまった眼鏡。
外そうとする和宏を柔らかく制し、代わりに瑠夜が手を伸ばす。
鼻先のブリッジを前髪ごと持ち上げれば至近距離。
冷たい指に触れられて、額の晒された顔で和宏が肩を跳ねさせた。

突拍子も無い、とは言われたばかり。
それでも、何も見えない中で行われたのでは動揺も倍なのだろう。
眼鏡を直すのも忘れてカチューシャになったまま。
赤くなって慌てる仕草はいつも通り。
なのだが、無造作に髪を上げた和宏は幼さを増して可愛らしい。
少し違う顔を発見出来て、瑠夜からすれば得した気分。

まぁ、呟くのは胸の中だけ。
"可愛い"を誉め言葉として真っ直ぐ受け取れないのは共に同じ。
お詫びのつもり、芯まで染まった大根を差し出す。

「失礼しました……折角なので和もどうぞ。」
「や、吃驚しただけだし良いんだ、けどさ……あ、ありがと!」
「大根は一晩置いてからが食べ頃です、味染みてますよ。」
「うん……、美味しい!学校でおでん食べられるとは思わなかったなー。」

葉と花の擦れる音が耳に届いて、窓へと顔を上げた。

ざわつく風を受けながら、花の塊が重たげに揺れている。
しなやかに身を任せても強かさを感じさせる姿で。
ガラス一枚向こう側、降り注ぐ薄紅の雨。
一重の桜よりも濃い色彩は簡単に尽きたりなどしない。

「っん……?」

あまりに艶やかだったものだから、見蕩れてしまっていた。
ぼんやり開いていた瑠夜の口。
何かが飛び込んで来たのは、不意の事。

甘さだけを残して、瑠夜の視界から引っ込んだ正体は箸を持った手。
其の先を追えば笑う和宏と目が合った。
無表情に走った驚きに満足したらしく、悪戯めいた色で。
ああ、そうだ、心を奪う者は此方にも。

「さっきのお返し、な。」

先程驚かせた事と一品あげた事と、両方の意味だろう。
口の中の優しい甘みは卵焼きか。
温め直したお陰で出来たてのような味。
湯気の立つ美味しい物を分け合う幸福は、必然的に笑みを作る。


じゃれ合いめいた時間は足を緩めて過ぎて行く。
春とは何とも優雅で、暖かで、だらしない。
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== Comment ==

ありがとうございました!
お返事が遅くなっちゃいましたがww

んもーなんだこの甘いのww
和が可愛い、瑠夜君が可愛いっ!
ほのぼのの奥にあるちょっとのエロさがなんともw(おい
このまま押し倒されたって構わない状況なのに
焦らされるような、けどそれが逆に甘くて可愛くて
美味しいって言う。そう卵焼き(何

和宏もホントにまんまの姿で照れた顔も浮かびますよ!
瑠夜君には友達としてもだけどそれ以上の特別な物もあって
一緒にいると何時も少しだけドキドキしてればいいw
お互いに毎日が何かの発見みたいな甘酸っぱい感じがとっても良かったですw
あぁ、光景が浮かぶ!!

ホントにリクエスト以上の素敵なお話を
有難うございました!
そして…また見たいって言うww
てかまた是非是非ナリチャで和宏を照れさせて欲しいですネェ~
うひひvご馳走様でしたw
いえいえー!
お忙しい時は仕方ないですし、私が書きたかったのでっ!

わ、和君可愛く仕上がってたのなら良かった…!
ご本家の和君が魅力いっぱいすぎるもので
毎回ちょっと緊張しつつも、楽しく書かせていただきましたv
瑠夜までそう言って下さって感謝です!
私の中で根暗とか鬼畜とかのイメージしか無い子だっただけに
桜桃さんから可愛いとのお言葉いただけるとはっ!
もー嬉しいやら勿体無いやら(笑)。
この二人はほのぼの可愛く、時々雰囲気エロスでv
卵焼き…一言で例えるとそうですよね、はい(笑)。

存在が特別でいつもドキドキしてて、てのなら瑠夜の方もですよー!
ラブに育つ前のライクみたいな。
うんうん、甘酸っぱい感じですよね…青春してると云うかv

此方こそ書かせていただきましてありがとうでした!
瑠夜と和君の話ももっと強化していきたいなと…悶々。
ネタ出来たらまたお借りしまーす!
はい、その為にナリチャでいっぱい遊びましょーv





        
 
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