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== 永桃学園日誌 ==

月の裏側で会いましょう(リリィ+深砂)

設定は此方から

隠れヤンデレコンビの密談会。


まだ息は白くなる程ではなくとも吹き付ける風に身が引き締まる。
そろそろ時刻は夜中、深砂は冷たい指でコートの襟を立てた。
スニーカーに履き替えた足が歩くのは屋根の上。
平面に近く広々とした斜度、断崖の先は、眩暈がするような高さ。
凍った湖の上を歩くのはきっとこんな気分だろう。
調子に乗ったりしなければ如何と云う事も無いが、安全とは言い難い場所。
別に愉しい気分で此処に来た訳ではないのだけれど。

見渡す限り何も遮る物など無く足元まで続く星空。
そんな中、夜を切り取る気配が一つだけ。
長い髪を風に巻き上げている男。
骨張ったリリィの手がひらりと舞って、深砂も其れに応えた。


永桃学園の寮の最上階、東の突き当たり。
此の部屋はベランダから屋根の上に登れるようになっていた。
尤も、階自体が物置と認識されており普段は全くの無人。
其れに加えて、下から見た限り決して判らないので知る者は隣とリリィくらい。
招待されなければ深砂にも一生縁が無かっただろう。
何しろ、内容は人気の無い場所の方が好都合。

「今日こそやっちまうんじゃないかと思った……」
「じゃ、あんな事しないでよ。」


指しているのは半日ほど前、購買部での一件。
値引き交渉に引き下がらない和磨に、リリィが銃口を向けたのだった。
本日、水鉄砲の中身は粘度の高い蜂蜜。
結果は見えているのだから止せば良いものを。
「僕のビューリホーな顔に何するんだ!」とか喚いていた気がするが、忘れた。
まぁ、其処までならいつもの事である。

一緒に居た深砂はと云うと、暫く笑った後、拭いてあげるからと手招き。
小柄な彼女と目線を合わせる為に和磨が膝を着いた時。
細い指先は絡まって首筋を捕らえる。
金色が滴る頬、深砂の舌先はぞろり舐め上げた。
言葉も失い目を丸くする和磨など知らず、静かな顔のままで。

「どーやっても俺には美味そうには見えねぇけど、アレ。」
「良いじゃない、別にリリィさんが和磨君舐める訳じゃないんだから。」
「ちょっと、冗談でもそーゆー事言うのやめて?」
「そうだね……、だって私の男だもの。」


“愛”から等号される欲求は何か。

「殺したい。」
「食べたい。」

問われればリリィと深砂の解答は決まっている。
平均的な感覚を持つ者からは、一概に”異常”だと距離を置かれてしまうだろうけど。
此処は、猟奇的愛欲者の言葉の墓場。
隠し持った野望を幾らでも曝け出して良い場所である。


「殺意は憎悪から来る物、てのが一般的な考えとして通ってる方が変だと思う。」
「うん、だって殺さなきゃ手に入らない物はあるもの。」
「地の果てまで追ってキスで終わる……ある意味、究極のプラトニックだろ?」
「私は身体の関係無いと嫌だな、色々と口に入れなきゃ愛は育たない。」

いつも其の先が思想の分かれ道。
だからこそ、話は尽きたりしないのだけど。

「殺したいってまでは俺と深砂は同じだけどよ、食うまでは理解出来ねぇーかも。」
「相手の一部を体内に取り入れてしまいたいって思うの悪い?」
「いや、悪いとかは言ってねぇだろ。」
「男は飲んでくれた方が嬉しいんでしょ、しゃぶって貰う時。それと同じだよ。」
「……ああ、お前は飲む方なのね。」
「理性じゃ絶え難い味だけどね、ゴムに出された物も捨てられないの。」

陽光の下、或いは酒の席でならば笑い話としての余裕も持たせただろう。
けれど今は何も無い夜の中。
月を宿した瞳は笑っていても学園では見せない色、両者共に狂気が揺れる。

「あのさ、そろそろ飲まない?」
「……何を?」
「そのコーヒー。」
「深砂、その流れで言うかお前……、先に言えよ。」

「動揺した?」と付け足したら、流石に睨まれそうなので堪える。
深砂の方も買ったばかりのホットレモネードを取り出してボトルの蓋を捻った。
コートのポケットに守られていた缶はまだ温かい。
差し出されたコーヒーと突き合わせ、コツンと乾杯。
手を温める為に強く握って一口、甘ったるい熱に寒さが溶ける。

「ところで、お前らって何処でやる事やってんの?学校?」
「ものっそい自然に言ったね……、逢引用の部屋の鍵貰ってるの。」
「ふーん、そこが殺人現場にならない事祈ってる。」
「だから願望止まりだってば、飽くまでも。」

最中に肩を齧るのは、既に行為の癖になりつつあった。
今も和磨の黒いシャツの下には痕が残る。
けれど所詮、どれだけ爪や歯を立てても千切れる事は無いのだ。
苦痛に歪む顔と声は深砂を欲情させる。
失ってしまうには惜しい物。
口の中が濡れるのを感じて、煽ったレモネードで洗い流した。


「私の好きな人、リリィさんじゃなくて命拾いしたよね。」
「同感……本当に相手が望む愛し方は出来ねぇもんな、俺達じゃ。」


本能の声のまま、深い情愛を以って、殺してしまいたい。
肉を裂いて、骨まで砕いて、喰らい尽くしてしまいたい。

剥がれ落ちた皮の内側、誰にも知られないままどろり煮え切った欲望。
吐き出し合うだけが互いの全てで良い。
朝になれば、何事も無い顔でそれぞれの日々を迎える為に。
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