== スポンサー広告 ==

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
┗ --:--:-- ━ Page top ━…‥・

== 梅染街 ==

木天蓼の棘〈1〉(楔波×和磨)

*同性愛描写(♂×♂)
以前、桜桃さんとのお話中に出たネタから書いてしまいました…
一応ファンタジーの世界観だし、て事で動物化ネタです。


抜け殻の旧校舎に存在するのは、正確に云うならば書物だけにあらず。
閉め切られて薄暗い無音の空間。
真昼でも不気味で、恐ろしい妄想を掻き立てられるには充分過ぎる程。
古くから怪談話も生徒の間でよく流れたが、完全なる噂でもない。
闇とは邪を呼び込みやすい。
即ち、霊が誘われても不思議ではない場所。

とは云えども、それほど悪質な者も居らず具体的な数や種類なども不明。
普段から人も寄り付かないので大した被害なども無く。
一々対処していられる程、学校側は暇を持て余していないのだ。
よって、長年に渡って暗黙のままに放置状態。

だからこそ起きた事だろう、"此れ"は。




襤褸切れのカーテンを開き、旧校舎内で一つだけ光が射し込む教室。
二つの影が伸びる日溜まりに沈黙が続いていた。

悲鳴を呑み込んだ形の口で、愕然としたまま和磨が見詰めるのは楔波。
異変に対する驚きは衝撃に近い。
それこそ、寝起きの頭で受け止めるにはあまりにも強すぎる。
一方、楔波が返す視線はと云えば対照的に落ち着いたものだった。
飽くまでも静かに、光る目で。

情事を終えて疲れた身体に日向の心地良さは逆らい難い。
二人で容易く眠りに沈んだのが昼過ぎ。
そして食事や睡眠などの生理現象中にこそ、人は隙が出来やすく。


旧校舎を彷徨っていた猫の霊に、楔波が憑かれたのは其の時だった。


黒髪から立ち上がった三角耳と長い尻尾。
四肢までも毛並みが揃って、猫の物となってしまっているのだ。

丸みを帯びた指先は手袋でも嵌めているようだが、鋭利な爪も確認出来る。
靴下に包まれて見えないが足も同じ状態。
形が変わってしまった所為で、合わなくなった上靴が脱げていた。



「ねぇ、何でそんなに冷静なのさ……」
「なっちまったもんはしゃあないやろ、何でお前が泣きそうなんや。」
「えっと……だ、大丈夫……?」
「ん、意外と気分は悪くない。」

不覚を取ったものの、姿が変わっても楔波は自分のペースを乱さない。
面倒そうな受け答えは不機嫌ではなく眠気が残っている所為。
どうやら、動じない性格なのは和磨が知っている以上だったようだ。
獣になって、怠惰の度合いが増したのだろうか。
腹這いで欠伸する顔は猫そのもの。


いつまでも困惑していたって仕方ないと深呼吸。
和磨にも漸く心の余裕が戻って来たところで、改めて楔波を凝視する。
変化を遂げた耳や尻尾を異様だと吹き出す事は出来なかった。

可笑しな話だが、今の楔波には少しも違和感が無い。
確かに以前から何処となく猫を思い起こさせる部分はあったのだ。
其れは小動物特有の可愛らしさより、猛獣の妖艶さ。
人ならざる異形の色気と云うべきか。
情交の後の気怠さが加わって、益々そう感じさせるのかもしれない。

「……どうした?」
「いや、別に……」

縦長の瞳孔が、金色に普段以上の野性味を混ぜる。
其の瞳に問われて思わず和磨は視線を逸らしてしまった。
見蕩れていた、とも言えず。


「あ、それより……夢露さんとこ行こう、霊の事なら専門家だし。」
「靴も履けないような足でそんな歩けるか、携帯で呼んだ方が早いやろ。」
「そっか、そうだった……て、何にしてもその前に服!」
「えぇやろ、別にそんなん……」

着ている、とは言い難い状態まで制服が乱れているのは二人とも同じ。
交わった時の恰好で眠ってしまったので肌を晒したまま。
日向の教室、持ち込んだ毛布に包まっていたら忘れていたものの。
制服を直そうにも猫の手では無理な話。
代わりに和磨が釦を直しに掛かると、面倒だけでない焦れた顔を返された。
犬と違い猫は服を嫌う。

ならば、とシャツから手を離して試しに当てたのは額。
宥めるつもりで恐る恐る撫でてみると、楔波は大人しく目を瞑った。
拒むどころか、和磨の膝に手を着いて顔を擦り付け始める。
行動は懐っこい猫なのだが、此れには流石に面食らって固まってしまう。


「ちょっと、あの、楔波……?」

意識まで猫に乗っ取られているのか、無視なのか、返事は無い。
顔を舐め出したところで、一度は落ち着いてきた筈の和磨も再び跳ね上がった。
舌まで猫に変わっているらしく感触は粗い。
頬、耳、首筋、と所構わずに這い回って濡らしていく。
堪らなくなって、捕まえた唇を重ねて塞いだ。

「っん……」

柔らかい舌には痛くても、濃桃は唾液を滴らせて絡まり合う。
吐息が火の傍みたいに熱い。
口腔を探ろうと伸ばした舌先に、尖った獣の牙が掠めた。


NEXT →


*クリックで応援お願いします

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ

スポンサーサイト
┗ Comment:0 ━ 23:03:59 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。