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== 梅染街 ==

箱舟に溶ける月(楔波×和磨)

*同性愛描写(♂×♂)
此処は一つ、ユルイ雰囲気の物も。
風呂ネタですがエロ抜きです。


街に叩き付ける水の量は一際激しくなったようだ。
此の季節、それも日の暮れた時間の雨は凶器にも近い寒さ。

壁一枚隔てた向こう、至って平和で暖かな浴室にはあまり関係無いが。
精々、窓ガラスから冷気が伝わる程度。
熱い湯船に身体を沈めたまま楔波は雨音を聞いていた。
凭れた縁の上で頬杖を突いて、眼を瞑り掛ける。

「ちょっと、こんな所で寝ないでよ。」

裸の肩を突付く人差し指。
緩やかに瞼を持ち上げれば、和磨が泡の滴る顔を軽く顰めていた。



豪雨の中を走って帰ったところで、傘不所持。
共にずぶ濡れの泥だらけで芯まで凍る。
和磨の家の方が近い為、文句言う隙も無いまま沸かした風呂に突っ込まれた。

広めの浴室ではあるものの、長身の男二人で使うには流石に狭い。
かと云って、交代で浴室を使う猶予など無く。
一刻も早く汚れて冷えた身体を何とかしたいのは同じ。
仕方ないので、一人が温まっている間に一人が身体を洗う形。
今更肌を隠す仲でも無し。

身に付けていた物一式は纏めて洗濯機の中。
服は和磨の物を借りるしかあるまい。
雨の止む気配が一向に無いので、今晩は此処で明かす事になりそうだ。
傘を借りても、冷たい雨の中を帰るなんて面倒。



「だったら、早く代われ……いつまで洗ってる気だ?」

趣味の一つが風呂だけに、和磨の家の浴室はバス用品で溢れている。
棚に揃ったボトルの数々を見渡しても楔波にはどれが何やら。


洗顔料だけで三つ、ボディソープは色も香りも違う物を気分次第。
沸いて早々に入浴剤を投げ込まれた湯船も、噎せ返るラベンダーの香り。
此れらを全て使うのだから手間も時間も掛かる。
泡と遊ぶ和磨は上機嫌でも。
行為の最中と同じように、淡い桃色に染まって濡れた肌。

「お前な……、身体が幾つあると思ってんや……」
「君は解かってないねぇ、一つしかないから大事にしてるんだよ。」

此の手の話になると結構頑固な和磨は、妙な説得力のある声。
自分の美学に関して誰にも譲らない。
それでも漸く終わったらしく、泡を流して、やっと交代。


頭から湯を被って一つ息を吐いた。
髪を洗おうとして、シャンプーはどれだろうかと手が迷う。
柔らかい巻き毛は手入れに苦労するとかで、ヘアケア用品が一番多い。
鴉の濡れ羽色の楔波とは対照的。

「あ、僕のは使わないでね?」

意味が解からない。
軽く眉根を寄せる楔波に、和磨が伸ばした手で選び取ったボトルを渡す。

「髪質違うから合わないと思うよ、君のはこっち。」

硬い髪用と記された、新品。
わざわざ自分の為に買っておいたんだろうか。
使い切る程の時間を共にする保証なんて何処にも無いのに。
けれど口にするのも面倒で、黙って受け取った。


此処には雨も寒さも心配要らない。
不安定な湯船の水面、映り込んだ丸い灯りが揺れる。



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