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== 永桃学園日誌 ==

紅水晶の心臓(隠+瑠夜)

設定は此方から

隠さん→丹ちゃん、瑠夜→深砂で片恋の連帯感。


放課後の図書室は時間の流れが緩やかに感じる。
こんな寒い日でも、窓際の席は陽射しがジリジリと机を焦がす。
そして其処には黒髪の小さな人影。

部活が無い日、瑠夜はいつも寮に戻らず此処に入り浸っていた。
勉強するには一番静かで最適な場所であろう。
寮の部屋に居るとパソコンに向かってしまうのは悪い癖だと自覚している。
ノートを開くには目に痛いけれど、合間に休憩するには丁度良い。
熱を吸い込んだシャツの背中を丸めたまま、伸びを一つ。

今まで閉じていた目をゆっくり鮮烈な光に慣らして瞼を持ち上げる。
映るのは並ぶ机、背の高い本棚、すぐ隣の貸し出しカウンター。
それから、とろりと濡れた目をした司書。


ただぼんやりしているだけとは違っているのは湿度を伴った空気で判る。
普段の涼やかな風貌には似つかわしくない程に。
とても甘い感情を隠れて味わっているような、物憂く哀しい色の瞳。
瑠夜にとっては見慣れている。
何しろ、視線の対象者は同じクラスに居るのだし。

今、注がれている先はガラス一枚隔てた校庭。
間違いなく、其処には柔らかな黒髪を靡かせて走る少女が居るのだろう。


「……溶けそうな気持ちになりますか、篁さんの事考えると。」

独り言のような小さな声でも彼女の名前は届いたらしい。
白昼夢から弾かれて、黒い髪が瑠夜の方へ跳ねる。


「え、何故知っているのですか?」
「え、気付かれていないと思っていたんですか……?」

見合わせた顔が言葉に迷う。
口を開けたまま固まっているのは間抜けで、いつまでもそうして居られない。
まぁ良いですけど、と呟きつつ取り繕いに頭を掻く。
それきり数秒の無言の後。
再び、沈黙は瑠夜の方から破られる。


「限られてますからね、一緒に”此処”に居られる時間は。」

過ごす時間が決して対等などではないと云う事。
其れは大きな隔たり。
季節が去ればいつか居なくなるけど、まだ自分は此処に居なくてはならない。
学園生活を飛び出れば、引き離されるのは如何にも出来ない現実。
こうしている間にも緩やかな足取りで確実に迫る刻。


「随分と感情が篭もっているように感じるのですが……」
「さぁ……?」

惚けてみたって、瑠夜の中では何も誤魔化せては居ない。
胸に浮かび上がる姿は鮮明。
軽々と跳ねる赤い髪をした、年上の人。
キスして、触れて、香りを感じられる相手が居る人。
苦しさで息が詰まってしまいそうになる。


好きか嫌いか、其の二択なら”好き”を選び取ってくれるだろう。
けれども自分の”好き”とは絶望的な差。

そう簡単には傷付いたりしないし覚悟はしているつもり。
砕け散るならば、きっと一瞬。
それでも欠片を握り締めて持ち続けてしまうであろう、ずっと。
愚か者だと誰かに笑われても。
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