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== 梅染街 ==

ジャックにくちづけを(楔波×和磨×紫亜)

*性描写(♂×♂)

暖まっていたブランケットを剥ぎ取られ、秋の空気が全身を包む。
腹の上に重みを感じた和磨は目を覚ました。
頬を撫でる冷たい手に告げられるのは、休息時間の終了合図。
此処の住人はゆっくり寝かせてもくれない。

赤いソファに仰向けで沈んでいた和磨と、圧し掛かる紫亜の視線が交差した。
眠たげな緑に対して小悪魔は艶然と金色の眼を細める。


「あーらら、まだ寝てても良かったのに。」

ちょっかい出しておきながら、実に白々しい口振り。
睡眠妨害で和磨が腹を立てたって無駄な事。
梃子でも動かず、見下ろす形のままで笑っているだけだろう。
どの感情を剥き出しにしても紫亜にとっては愉しみ。

何度も繰り返しているので拗ねる気すらも失せてしまう。
抵抗は諦めたが瞼だけは重くて、和磨も寝そべりながら相手する。

「反応無いとつまらないんじゃなかったの……?」
「いつ起きるか、寝てる間にあんな事こんな事しようかと思って。」

残念とばかりに、和磨の首筋を爪弾く細い指。
微睡んだままの会話は気怠くてどうにも顰め面になりがち。
それを聞くと流石に身が震え、却って目を開けるのが怖くなってしまった。
気紛れで無茶をする相手、何をされるやら分かった物ではないのだ。


和磨が昼寝していたのは、何も単なる怠惰による訳じゃない。
それほどまでに疲れているのだ。

10月の最後を迎えた今日はハロウィン。
雑貨屋はパーティグッズ、カフェはカボチャのスイーツを求める客だらけになる。
祭典を華やがせる為にと仮装して、その全員に笑顔で対応してきたのだ。
接客業のバイトを掛け持ちしている身は一ヶ月間も大忙しだった。

和磨も勿論オレンジに染まる店の雰囲気を楽しんだが、労働は労働。
学校帰りに急いで直行してから、時間一杯動き回った後。
制服に戻った夜は魔法が解けたような気分。

衣装は各自洗濯してからの返却なので持ち帰って来ているものの。
和磨が可愛らしい格好をしても、双子は堪らないとばかりにまで悦ばない。
それより脱がされて恥ずかしがる様に昂ぶりを見せる。
当人達も服にあまり興味を示さず、シンプルで動きやすい物ばかり。

実際、帰宅して着替えた今はTシャツ姿。
ハロウィンを意識してか、学ランを脱ぎ捨てた後まで纏う色は黒。


それにしてたって、本当の要件は何なのか。
遊びたくなったら此方の都合なんて無視して強引に押し通す。
欲情した時も、ただ弄るだけの時も。
和磨だって嫌ではないが、都合を考えてくれないのが悩み。

髪や頬を冷たい手に任せるまま、再び薄目を開けてみた。
視界には見慣れた天井と愉しげな小悪魔。
それから、傍らに小さなケーキの箱。

「食べさせてあげるさね。」

まるでご馳走するような言い方だが、買ってきたのは和磨である。
バイト先のカフェで人気のパンプキンチーズケーキ。
甘い物が苦手な楔波も居るので、デコレーション系を避けた結果。
夕飯後の楽しみだった筈だが待てなくなったらしい。

紫亜だってそこまでケーキが好物と云う訳でも無いが。
和磨に餌付けする事を面白がっているだけ。


そうして和磨の腹に跨ったままで紫亜が箱を開いてみせる。
焼き目が艶々した、こってりと濃厚な黄色。
スプーンも使わず押し当てられ、諦めて口腔に引き込んだ。

意外と蕩ける柔らかさの生地は歯が要らない。
口当たりが良くて喉を滑っていく。
甘さは控えめでもカボチャとチーズの風味がしっかりと深い。
今年もハロウィンのお菓子は上々だった。


ただし、どんなに美味くても口に詰められる量は限度がある。
咀嚼する間にも紫亜がケーキを押し込んでくるのだ。
そろそろ味わう暇が無くなってきた。
窒息しそうで噎せ返ると、苦しげな和磨を愛しげ眺める始末。

必死で自分のケーキを呑み込み、やっと一息。
もはや何の為に買ってきたんだか。
甘い物は幸福の象徴だと云うのに、こんな辛い思いをするとは。

「あーあ……、和磨ってばこんなに汚しちゃって駄目さねぇ。」
「えぇ……?紫亜がそれ言うの?」

息苦しくて形振り構わずに頬張った所為で、どろどろの痕跡。
口許どころか喉、シャツまでカボチャが垂れていた。
子供が夢中で貪った訳でもあるまいし、少しばかり恥ずかしい。


紫亜の指もクリームで色付いて甘い匂い。
やっと彼も味わって、名残惜しげに赤い舌で舐め取る。
しなやかな獣じみた仕草。
無造作な艶やかさを見せられるたび、和磨は落ち着かない気持ちになる。

そして、こう云う時に紫亜は察するのが早い。
和磨が表情に出やすい事もあるが、だからこそ悪戯したくなるのだろう。

「舐めてあげるさね。」

赤い舌を覗かせる三日月の唇。
そっと近付け、カボチャが零れた和磨のシャツに吸い付いた。

まだ夕飯すら前なのに、先に和磨の方が食べられる。
こうなる事は解かっていた。
紫亜が寄ってきた時から決まっていた運命。


唾液だけでは洗い落とせず、きっとシャツは染みになってしまう。
どうせ黒い上着で隠れる部分なので仕方ないか。

ぼんやり考えていたら、不意に喉を舐められて一瞬怯えた。
紫亜の舌は意志を持った別の生き物になる。
生白い素肌を濡らしながら、シャツから上を目指して移動していく。

「ちょ……っ、紫亜、キスはやっぱり……」
「まだそんな事言ってるのさね?」

顎から頬まで汚すクリームを拭い取り、最後に行き着くのは唇。
紫亜が舌を伸ばしたところで遮った。
奪われた数は今更覚えてなくても、まだ気が咎める。

唇の熱を重ねて、舌で唾液を絡め合って。
そうして欲しい相手は一人しか居ない。


「……だってさ、楔波が良いって。」
「なら……、貰ってやる。」

死角に向かって紫亜が呼び掛けると、聞き慣れた低音が返る。
動揺で呼吸が止まりそうになった。
押さえ付けられる形の和磨は小悪魔以外見えていなかったのだ。

ああ、まさか此処に居たなんて。


真っ直ぐ伸びて来る、色黒気味で筋肉質の締まった腕。
骨張った手に頬を包まれて熱が上がる。
色素の薄い紫亜とも和磨とも違う、闇を吸い込んだような黒髪。

不意に現れた楔波は、そうして和磨の唇を味わう。
甘い物は苦手なくせに。

ずっと焦がれて待っていた事。
和磨が強請れば、その分だけ楔波は確かに応えてくれる。
ただ荒々しく欲望を叩き付けて終わりじゃない。
彼がそうした優しさを見せても、相変わらず無自覚なまま。


キスに意識を奪われていたら、腰から下を紫亜に脱がされた。
唇を塞がれたままなので和磨の悲鳴は掻き消える。

「じゃ、今度はこっちに食べさせてあげるさね。」
「え、紫亜、待……っ!」
「何や、お前は苛められて悦ぶんやなかったか?」

まだケーキならば二人分も残っているのだ。
大きく崩せばクリームで滑る細い指。
剥き出しになった和磨の脚を広げ、無防備な入口に紫亜が触れる。
易々と刺さって、声にも甘さが混じり出す。

「面白いな、お前は……」
「そうさねぇ……和磨、可愛いさね。」


お菓子と悪戯、双子による選択肢は今年も両方。
移り気の筈が飽きもせずに。

ペット、玩具、和磨をそう言い表しつつも”特別"には違いない。
暗闇の退屈さを殺す存在。
歪に繋がって、「面白い」が何よりも愛の言葉。




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