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== 梅染街 ==

固結びの銀〈2〉(楔波×和磨×紫亜)

*性描写(♂×♂)


大きな街がこんなにも賑わうのは桜の時期以来だろうか。
今日の華は星空に咲く大輪。
夜が深まって花火の時間も近付くに連れ、人が増えて行く。

歩き回ったとしても小悪魔を捜索するなど不可能。
ただでさえ手錠で動きにくいのに。


困ったもんだと和磨は肩を落としたが、本当は大して焦ってない。
どうせ携帯があるので連絡は出来る事だし。
自分にそう言い聞かせ、自由な左手で巾着を探ってみて眉根を寄せた。

携帯を忘れた訳ではない。
見慣れない鍵がストラップに紛れて加わっていたのだ。

いつの間に、と考えてみれば射的に熱中している間は隙だらけ。
紫亜が巾着を弄っていても気付かなかった。
ほぼ間違いなく手錠の鍵。
戻るまでこのままかと思えば解除方法は残されていた。
悪戯に意味を求めるのも不毛かもしれないが、そもそも行動自体が謎。


「紫亜の考える事は全然解かんないよ、僕。」
「嫌なら好きな時に外せばえぇって話やろ。」

一方、紫亜と以心伝心している楔波の解説は簡潔。
行きそうな場所も判るかもしれない。
尤も、鍵があるならその必要も無くなったか。
意外と呆気無く解放されそうで一安心するところ、なのだが。

「もうちょっと、良いかな……はぐれちゃいそうだし。」

銀色で繋がれた手を絡めると、楔波から引き寄せられた。
此の混雑なら気に留める者も居まい。
そのまま再び足を進め始めて、暫くは二人きり。



現在地の知らせを紫亜にメールで送り、携帯を閉じる。
左手では苦労するので飽くまで手短に。
それを見届けてから右側の楔波がまだ温かい袋を渡してくれた。
揃って座り込むのは、刈られたばかりで短い夏草の上。

「先食べてても良かったのに。」
「別に……」

こうして、やっと屋台で買って来た物を開封する。
家で晩飯を済ませてから二時間経過。
折角祭りに来たのだからと、握り締めた小銭で一品ずつの買い食い。

しかし片手が使えなくては食べ歩きも難しい。
何処かで腰を下ろせないか探した結果、喧騒から外れてしまった。
人目を離れて何も無い場所。
確か、去年も三人で此の辺りに来た覚えがある。


繋がれたのは楔波が左、和磨が右。
利き手が不自由になろうと、箸を使わない物なら飲み食いに支障無し。

其処を考慮して選んだタコ焼きは、二人で分け合うなら1パックで充分。
香ばしいソースの匂いを前にすれば育ち盛りの胃は余裕が出来る。
溜息を吐くのも飽きていたところだ。
今度は食べる為に開いた口、欲に任せて齧り付いた。

「ん……っ!」
「……ほら。」

美味しくてもまだ中身は熱々。
呑み込むにも苦労していると、楔波からジュースの瓶を渡された。
濡れたガラスの冷たさがありがたくて素直に一口煽る。

祭りと云えばラムネの方にも和磨は惹かれていたのだが。
炭酸が苦手な楔波と回し飲みする為、無難なオレンジに決めた。
今やすっかり毎日キスする仲。
初めて交わした時を考えれば、こんな関係は奇跡だろう。

半分このタコ焼きとジュース。
夜を渡る風が薄手の甚平に心地良く、蒸し暑さは彼方へ消える。
会話は無くても重くならない、いつもの事。

手錠で離れられない状況は妙だが悪くない気分。
はぐれもしないのに、銀色に捕まった指先は絡め合って。



「ただいまさね、邪魔するよ?」


力が抜けていた肩を叩く、薄闇からの声。
正体は判っていても驚かされた和磨が悲鳴を呑み込んだ。

パックはすっかり空になって、もう瓶のオレンジも残り少ない頃。
「後で」は待たされたようなそうでもないような。
別れ際の言葉通り、戻って来た紫亜。
何処で何をしてきたのやら、よく見れば甚平が濡れていた。

「金魚すくい。俺は得意さね、楔波は下手だけど。」
「素手の方が獲りやすいんちゃうんか。」
「あー……そこは射的の時と反対なんだね、二人って。」

双子でも正反対な部分が多いから面白い。
けれど得意だと言いながらも、手には金魚の袋など影も形も無し。
器用な紫亜の事だから大漁になりそうなものだが。
服を濡らすほど愉しんできただろうに。


「あぁ、要らないから返してきちゃった。ペットは和磨が居るし。」

理由は至って軽々と明かされる、小悪魔の笑みで。
そう、双子と和磨は名目上こう云う関係。

手錠は恐らく首輪と鎖の代わり。
何処にも行かないようにと支配の証も、金属音一つで解放される。
鍵で外されてしまうと不安げな顔をしたのは和磨の方。

「何や……、此処に居るやろ。」
「ん?遊んで欲しい?」

楔波の唇にあやされ、淡い寂しさはキスで舐め取られる。
舌先に残るオレンジが気恥ずかしい甘さ。
溶けそうになっていたから、問い掛けにも頷いてしまった。
紫亜の手元にある物は見えていたのに。

馴染みのマニキュアとも返品した金魚とも違う、真っ赤な色。
艶々した一口大の姫リンゴ飴が二つ。

確かに覚えがある、此れは去年とよく似た状況。
ただ、戸惑うばかりだったあの時とは同じじゃない。
今から何をされるか分かっている故に、和磨の芯に熱が宿る。


まだ足りないと、剥がれてしまう唇に縋る。
楔波も応えてくれるものの、このままでは先に進まない。
終わりではなくとも暫しのお預け。
糸を引いた和磨の口許に、姫リンゴが一つ押し込まれる。

食べる為ではなく喘ぎを封じる轡代わり。
体温の低い手が伸ばされ、甚平の結び目はゆっくりと解かれる。
焦れる感覚に、和磨は飴に小さく歯を立てた。


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