== スポンサー広告 ==

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
┗ --:--:-- ━ Page top ━…‥・

== 永桃学園日誌 ==

アンダンテの糖度(リリィ×風雅)

設定は此方から

*同性愛描写(♂×♂)
赤鼻パンク!の約一年後。


「飛島君、リリィさんとデキてるって本当?」

質問された回数なんてもう覚えていられない。
其の度に笑って受け流すのもすっかり慣れ切ってしまった。
考えてみれば、そろそろ一年近く経つ。

カウンター越しに唇を重ねてから。
未だに其処から先は踏み込まず、止まったまま。



反芻しながらの帰り道は風雅一人。
夏の終わった空は足早に染まり、随分と風も冷たくなる。
だるい溜息が橙色の中に溶けた。
肩から掛けた鞄の重さの所為だけじゃない。

見えないところで付き纏って、静まったかと思えば浮き上がる。
学校中に流れた噂はそう云う種類の物。
今日、久々にストレートど真ん中で訊かれてしまった。
別に誰とキスしようが全く勝手な筈なのだが、周りはそう見てくれない。
男同士で、となると不自然になってしまうのが世の道理。
当人達がそう云った物に捕われなくとも。
特に年頃の女子とか、やたらと此の手の話題を好む訳だし。

極単純に好きか嫌いかで云えば、前者なのは事実。
愛とか恋とかまでは知らずとも。

そりゃあ風雅だって基本的には異性の方が良いけど。
同性でも抵抗も後悔も無い、多分ずっと。
第一、感情を突き詰めて分類する必要性は本当にあるんだろうか。


噂が蔓延し続ける限り、お互い学校で彼女が作れないのは確実。
何も無かった事にするには今更遅いのだ。
けれど、如何も物足りないのも正直なところ。
秋の人恋しさからか、ついついそんな事を考えてしまったり。

いっそ身体だけ、とかでも一向に構わないつもりなのだが。
宙ぶらりの中途半端。
もう少し、向こうもやる気みたいなの出して欲し……

やる気……

無かったりして?


「うわー……、いや、ソレは流石に虚しーわァ……」

少々情けない声で呟いてポケットに突き込む手。
幾ら探ってみても、生憎と今はハンカチぐらいしかない。
こんな時に限って飴玉は品切れ。
まぁ折角だからとサングラス外して磨き始めるも、妙に寂しく。
そうしてる間、寮は目と鼻の先。

指は取っ手を軽く押しただけ、隙間を作り靴の爪先で器用に扉を開ける。
変わらず目線は下へ向けたまま。
拭き終えて、顔を上げようとして……、スリッパの足が床を叩いた。
サングラスはハンカチごとポケットに。


見慣れた背中、半ば掴む強さで肩に手を置いて。
誰に見られるとも知れない廊下。
此方へ振り向いたところに、触れるだけの。



「甘。」

唐突だろうと大して驚きもせず、独り言を一つ。
掠れた響きも至近距離では真っ直ぐ耳に。


「えェ?飴食べてないよ?」
「あぁ、何となくそんな気が。」
「ただいまァ。」
「ん、お帰り。」

黄と青、赤が不埒な色で交わって歪む。

先程までの蟠りが溶けた感覚。
傍に居るならそれだけで、なんてとても甘い考えで。

もう少し、此のまま。
スポンサーサイト
┗ Comment:0 ━ 19:11:27 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。