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== 梅染街 ==

100gの雫(楔波×和磨×紫亜)

*性描写(♂×♂)

遅くなりましたが桜桃さんのお誕生日祝いに。
お題が「雨」なので切なさ混ぜてしっとり仕上げたつもり…


太陽が隠れてしまう梅雨時に雑貨屋は別世界じみていた。
寒々しい灰色が出入り口のガラス越しに見えても、色彩の散らばる店内は平穏。
味気無さにだらけてしまう週末も既に午後。
「お先に失礼」と一声、バイトを終えて和磨の休日は此れから。
そうしてバッグを肩に掛け直すと、靴底で湿っぽいアスファルトを叩いた。

朝から曇天、相変わらず時間が読めない空はいつからか雨模様。
とは云え傘が無くても問題無い。
新緑に色を変える初夏の桜街、微々たる雫が無数の葉を揺らす程度。

シャツ一枚では肌寒い、小走りで帰ってから温まるとするか。
家に着けば双子もコーヒーくらい淹れてくれる。


けれどスタートを切ろうとして、ふと気付かされる。
可愛らしい雑貨屋に不似合いな煙草の匂い。
鼻の効く和磨が釣られるには充分、其方を向けば思わず声が零れた。

「……えっ、どうしたの。」

入り口から外れた軒先、フードで覆われた不揃いの頭。
黒いパーカー姿の見慣れた顔が二つ。
退屈そうな口許に細い煙を燻らせる、楔波と紫亜。


「何や、迎えに来たら悪いんか。」
「風邪引かれたら困るさね、ペットのケアも大事だろ?」

驚いた緑の瞳を見届けて、暇潰しの喫煙は打ち切られる。
しかし「迎え」だと言うのに傘は持っておらず。
代わりに投げ渡されたのは白いパーカー、確かに小雨なら事足りるか。

人数通りの傘三本では隔たりが出来て遠くなってしまう。
かと云って一本を共有するにはあまりに狭い。
そもそも迎えだけなら双子の片割れだけで良いのだが、離れられない関係。
和磨と二人きりになると残された方が嫉妬を見せる。

被ったパーカーから首が抜けると、乱れた金茶の癖っ毛。
ただでさえ湿気で跳ねやすいのに。
フードで髪を隠してから、双子に連れられて屋根の下へ踏み出した。


だからこそ飽きないと彼らは言うものの、空は移り気。
誤算を知る事になるのは数分後。



冷たくなった手で自室の玄関を閉めて、やっとゴール。
それでも一息吐くにはまだ早い。
水を吸って重くなったパーカーが脱ぎ捨てられると、色の違う頭が三つ。
黒、栗色、金茶、どれも雫が滴って頬に張り付く。

「災難だったよね……」


そのうち勝手に止むなんて気楽な考えは、とんだ読み違いだった。
ほんの僅かな間に水量は増して成長を遂げる。
降り注ぐ強い雨が街を洗って幾らか新緑も散らしてしまう。
こうなればフードでは防ぎ切れない、傘の無い三人も巻き込まれた。

いつも引っ付いていると幸も不幸も分け合う事になる。
身に付けている物は全て洗濯機行き。
熱いコーヒーが恋しくても、すっかり冷えてしまったので風呂が先か。

どうせ洗面所に行ってから脱ぐのだが、濡れた衣服は少し気持ち悪い。
もうシャツとボクサーで上下一枚ずつだけの恰好。
小さく震える和磨が床に落とされた物を拾っていると、背後から視線。
大抵こう云う時は気の所為じゃない。

「どうしたの……?」

金色の眼に絡め取られたら此方の負け。
僅かながらも抵抗のつもりで、双子へ振り向く緑は一瞥のみ。

しかし却って、背中を向けたままでは無防備。
堅い手と細い手が伸ばされても気付いた頃にはもう遅いのだ。
剥き出しの脚を撫でられて鳥肌が立つ。
二人共いつも体温の低い所為で、雨に打たれた後では氷を思わせた。


四つの腕が巻き付いて捕獲される身体。
縮こまる和磨の顔を引き寄せ、楔波が紫煙の香る唇を重ねてくる。

キスが解禁になってから紫亜も気軽に狙ってくる。
交互に啄ばまれて唾液が溢れた。
冷え切った唇に苦い舌、雨と煙草の混じり合う味。

含んだままの煙を口移しされる悪戯だって何度かあった。
噎せながら涙目になる和磨を面白がって。

「んん……ッ!」

パーカーを着ていても、下のシャツまで染みていた雨水。
濡れた布越しに胸を探られて声が漏れた。
暇さえあればと時間を掛けて双子が躾てきた和磨は快楽に敏感。
キスだけで灯った熱に逆らえない。

「風呂よりベッドが良いさね……、行こっか。」
「温めてくれるんやろ?」

甘い低音二つは呪縛として響く。
焦がれるほど待ち望んでいた筈の声なのに締め上げられて息苦しい。
それでも足は真っ直ぐに寝室へ進む、操られるまま。



邪魔とばかりに全て衣服を脱ぎ捨てて、滑り込んだベッド。
ブランケットとシーツの間は素肌に気持ち良い。
眠る為ではないので瞼は閉じられず、相変わらず双子から逸らせなかった。

雨を逃れてきた今、三つの身体を濡らすのは汗と精液。
水音で深く絡み合って色濃く匂う。

歯を立てられて舌が這い、組み敷かれた和磨は体温を貪られる。
朦朧とした頭では吐き出した回数も曖昧。
楔波が胸元に吸い付く間、疼きで苦しむ下腹部は蜜ごと紫亜に舐られた。

脚を押さえ付けて曝け出された其処。
嗜虐の愉悦に含み笑いを零しながら、小悪魔は刀身を埋める。

「ふ……ッ、あぁ……!」


冷たい肌に愛でられて、意識が遠退きそうなくらい上がる熱。
そうして目許も緩んで潤む。
天井を見上げながら涙が流れると耳元まで落ちてくすぐったい。
指先で行方を辿ってみた雫は、ピアスを濡らしていた。

和磨からは視界の外なので、触れるか鏡を使わねば存在が掴めない。
耳朶を穿つ金属の塊と緑のガラス。

所有されている証は此処にある、確かに。
独占欲が深く根付いてしまった双子にとっては何より愛情表現。
こんな小さな傷など構わなかった。
最初の痛むうちは傍に居なくても彼らを感じられたのに。

和磨の事を「飽きない」と口にする度に安堵で包まれた。
捩れて歪ながらも繋がれた恋。
それでも、ありきたりな愛の形に縋りたくて寂しくなる時がある。


「……何や、どうした。」

塩辛い雫を舌先で拭い取って、何処か優しく楔波が問い掛けた。
悦ぶ時も怯える時も情交で和磨は表情を崩して泣く。
今日は少しばかり違う、ただ眼を紅くするばかりの静かな涙。

「泣くなとは言わないよね……、二人は……」

質問に答えない和磨は涙を止めずに囁く。
紫亜を受け入れて、揺さ振られる度に甘い声を零しながら。
底無しの快楽へ沈んでしまえば何も考えずに楽なのに。
身を任せきれない所為で浮上してしまう。


「俺らは泣き方知らんからな……、お前が表情を変えるのは面白い。」
「泣き止んだら笑顔も見たいさね、店ではいつも楽しそうだろ?」

恋心の自覚が無い双子に、和磨の真意を汲むのは難題。
けれど、こうして欲しい言葉は簡単にくれる。
不敵な笑みで歪ませた唇。
紫亜が細い喘ぎを塞げば、奪い取った楔波も舌を潜り込ませる。

此のキスが何より和磨を火照らせる。
呼吸の合間に剥がれる事すら惜しくて、手を伸ばした。


灰色の雲に隠れたまま太陽は遠く、薄暗い昼は過ぎていく。
激しい雨の旋律に重なった嬌声が高くなる。
閉じ込められた錯覚を伴って。
まだ此処に居たかった、何処にも行けなくたって良いから。



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