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いちご同盟(鞍吉+和磨)

ネタを思い立ってから一ヶ月くらい経ってしまいましたが…!
再び書かせていただきました、鞍吉+和磨です。
ハロウィンネタも脳内にあるので、ソレの布石も兼ねまして。


客の疎らな時間、カフェ「sweet smak」は緩い雰囲気で満ちる。
一転、裏側は従業員しか知らず。
どんな時であっても引き締まった空間の調理場。

働き回る幾つもの器具が音を立てる合奏。
少々かしましいが、無機質な銀から生み出すケーキは甘い色彩。
味わうのは眼だけに限らず。
バニラ、リキュール、チョコレート、熱せられれば匂いも強く。

切り分けられたら客の下へ。
こうして出て行く皿もあれば、返って来る皿もあり。


今しがた下げられたばかりの皿にはタルトの残骸。
廃棄になる直前、摘んだ指先に救われる。
齧り付いた後姿は隠れる筈も無く。

丸めた肩に片手を置いたら思いのほか素直に振り向いた。
口を開けたままの間抜け面、デコピン一撃。

「痛ぁ……?」
「いや、何で不思議そうな顔してんだよ……」

片手を額に当てる茶系のギャルソンルック。
訝しげに眉根を寄せる白いコックコート。
ホールの和磨とキッチンの鞍吉、持ち場が違うので今日最初の会話。


「あ、鞍君も食べたかった?」

違うと返すタイミングを失って鞍吉が口を閉じる。
飽くまで飄々とした態度の和磨は、本気だか冗談だか。

ジャムが飛び散る皿の上、タルトの端はパンの耳と似たような物。
飽くまで果実やクリームが主役なのだ。
中身を味わったら、堅いビスケットだけ置き去りなど珍しくない。

「残す人多いよねぇ、此処も美味しいのに。」

勿体無い、と和磨が欠片を口に運ぶ。
ポットに残った紅茶も、自分のコップに注いで最後の一滴まで。
すっかり冷めて濃くなっていようが構わずに。


本来、和磨が身を置くのは近くの雑貨屋。
カフェが忙しくなる期間のみ、掛け持ちで制服に袖を通す。
レジも打てるしラッピングも手馴れたもの。
接客の基本も叩き込まれているので、手が足りない際には呼ばれる。

ただ、"問題"なんて大袈裟な程でもないのだが。
客の食べ残しをつまむ癖あり。

「僕は此れが楽しみで来てるんだよ!」
「言い切ったな……」
「だってほら、味知っておくのも務めでしょ。」
「食いたいなら言えよ、試食用くらい切ってやるって……」
「残した物が良いの。生ゴミ減るし、僕はケーキ食べられて一石二鳥。」
「…………」

何となく噛み合わない遣り取り、いつもの事。
決して仲が悪い訳でなくとも。
それから、どうも和磨は鞍吉を弟扱いしている節あり。
年上としては面目が立たないと云うか。

「……太れ。」
「やだな、テンション下がる事言わないでよねぇ。」


ぐだぐだ話し込んでいたら此処が厨房の片隅だと忘れていた。
両者の肩に手が置かれたのは、その時。
反射的に振り向いたものだから警戒する間もなかった。

額を弾いた指、今度は二発。


「油売ってないで動けよ、お前らは……」

パチンと響いた衝撃。
地味な痛みに鞍吉と和磨がそれぞれ顔を顰める。
そうして視線は、同じ方向。

小さな子供を叱る類の声に、繰り出した形のままの手。
溜息混じりに呆れた釈七。

実際のところ、鞍吉の方はとばっちりにも近いのだが。
釈七と和磨の間で思わず身動ぎしてしまう。
体格は違えども長身同士に挟まれると、何だか圧倒される。


「そうだね、次のお皿持ってかないと……、それにしてもさ。」

出来上がったばかりの注文の皿を受け取ると、和磨が背を向けた。
もう仕事の顔に戻りつつも、ふと付け加えられる。
独り言の小ささでも確かに届いた。
そうやって軽い足取りで厨房を抜ける寸前、此方に投げる声。

「二人とも似てきたよね、同じ事したりして。」

同じ部分を打たれた和磨の額は微妙に赤い。
一瞬だけ血を巡らせた、鞍吉と釈七の表情も揃って染めて。
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