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== 永桃学園日誌 ==

泥靴とバーミリオン(丹+和磨)

設定は此方から

受け組で相合傘(軽く修正版)。


午後から急に黒い雲に覆われた空は、一度泣き出したら止まない。
冬の雨は冷たく痛く、ましてや夕方なので暗く。
下校時の生徒に何たる無情。
激しいリズムで地面に突き刺さるばかり。

鈍色の世界を払う音一つ、大きく花開いたオレンジの傘。
人影は二つ、意外な組み合わせ。


「ズマくんー、置いてくでー!」
「う、うん、ありがと……お邪魔させて貰うね、篁さん。」


野外の運動部は当然ながら全て本日休止、丹の陸上部も例外なく。
雨具不所持の和磨が遭遇したのは靴箱の辺り。
小用で部活を休んだのに帰れないのでは意味無し。
頼りの置き傘を、前回の雨から寮に忘れたままだと気付いたのは先程。

そう云う訳で、和磨が帰路を辿れたのは丹と彼女の傘のお陰。

「だってズマくん、捨てられた子犬の顔してたで!」
「え?僕、篁さんに拾われたの?」
「あ、やっぱあかんなぁ、寮ってペット禁止やもん。」
「……もう野良決定なんだね。」
「ところで部活休んだんって、腰悪くしたとかなん?」
「あ、これは、違うけど……」

丹の指摘通り今の和磨は猫背。
と云うのも、傘を共にするには20センチの身長差は大きい。
此の状態で背筋を伸ばしたら確実に丹が濡れてしまう。
口に出すのは男らしくないので黙っていると、

「男はシャキッとせなあかんよ、桜井君2号機!」
「やめてくれたまえ、あのもやし君と一緒にするのだけは!」

明るい色の声が雨音を弾く。
スニーカーで水を跳ね上げて、泥濘の足跡は増える。


顔は見知っていても、お互い話したのは先日が初めて。
丹が持っている天性の”自分のペースに巻き込む才能”はあの時に学習済み。
いや、それはもうたっぷりと。
戦々恐々と表現するはかなり大袈裟、でも調子が狂う理由はもう一つ。

進之助や深砂を介した間柄、まだまだ親しいとは言い難い。
にも関わらず、気軽に笑い掛けてくる丹はとても珍しく、ある意味として貴重な人材。
独特のタイプなので和磨が対処に困るのは無理もない。
狭く深くの付き合いしか知らないのに。
逆に疎まれる事やそれを流す事には慣れているのだが。

「篁さんって雨でも元気だね。」
「そんな事ないで、湿っぽくて気持ち悪いから雨嫌いやもん。」
「まぁねぇ、髪が濡れちゃうのは……」
「あぁ、ズマくんの髪ってワカメやから水吸うと増えるん?」
「こーゆーのはセクシーって言うんだよ!」
「ちゃうで!増えるってとこを先にツッコミ入れてや!」


相合傘なんて響きは甘くても、ムードなど最初から欠片も無し。
それならそれで良い、必要も無いのだ。
赤い糸の先なら見えている。
こんな調子で自分は振り回されっ放しなのだろう、進之助と友達である限り。

「篁さんとも長い付き合いになりそうだね……、そんな気がするよ。」
「そうやね、うち深砂ちゃんの嫁やし!」


そうじゃないんだけどねぇ。
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