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== 梅染街 ==

赤い花、青い蕾(瑠夜×和宏)

設定は此方から

*同性愛描写(♂×♂)
桜桃さんお誕生日おめでとうございます!
双子君×和磨の方はまだ掛かりそうなので、明日にでも…

まず一つ目、瑠夜×和宏。
久々にこの二人書けて楽しかったですv

靴箱の戸を閉めると鼻先を掠めて土埃。
スニーカーを突っ掛けて身を起こせば、目の前の光景に瑠夜が溜息一つ。
いつもの時間ならまだ明るい筈の空は灰色。
湿気の高い正面玄関から先、踏み出せないのは雨の所為。

けれど立ち往生するつもりは無い。
傘立てから一本取って、此方に呼び掛ける手。

「瑠夜、帰ろ。」

雨音を一瞬遮り、大きく開いた傘の花。
柄を肩に掛けて和宏が微笑む。
頷きを返した瑠夜も、喜んで其の手を取った。



「用意が良いんですね和、さっきまで晴れてたのに。」
「あ、此れは置き傘。最近の天気って変わりやすいよなー。」

蔓延った春の雑草も雨で項垂れて、土が濃く匂い立つ道。
一つの傘の下、和宏と瑠夜が帰路を辿る。

安全圏は如何しても狭いので、距離を詰めなければ濡れてしまう。
歩くにも自然と寄り添う形になったまま。
身長差があるので、ぴたりと触れ合っているのは肩と腕。
他愛無いお喋りすら妙に照れ臭い響き。


ワインカラーの傘は見上げてみれば確かに紅。
閉じた状態は黒に近かったが、空に透けると少し明るくなる。
冷たい雨の中、其処だけ熱を持ったような色。

「だからかな。今日は瑠夜、血色良く見える。」

顔を覗き込んできた和宏が安堵混じりに笑う。
雨雲で隠れて見えないが、弱々しくも天から光を注ぐ太陽。
傘の色は二人を紅に染め上げる。

「すみません、和にまで心配掛けてしまって。」
「ん、たまに顔色悪いからさ……瑠夜。」
「大丈夫ですよ、大きな病気はした事無いですし。」
「そっか、でも具合悪い時は無理すんなよ?」

つい我慢してしまう瑠夜の癖などお見通しか。

言ってくれないと困る、と和宏が腕を組んだところで気付いた。
傘を差していても飛沫までは流石に防げない。
よく見れば、眼鏡に点々と水玉模様。

「あ、本当だ……、見え方ちょっと変だと思ったら。」
「お預かりしましょうか?」

度が入っていない眼鏡を外したって支障など無し。
手を差し出せば、和宏から素直に渡される。
大事に受け取るとハンカチで拭いて雫を消し去った。

「ふぅー……」

もう一度、と眼鏡を磨く為に吹き掛けた息。
レンズは白くなったが、其れを見た和宏が赤くなった。
いや、相変わらず紅の下なので顔色の違いは紛れて判らないが。
一瞬見せた動揺、仕草や表情で判ってしまう。

「どうかしました?」
「いや、自分でもよく解かんないけど……何か照れる……」

少し俯いて和宏が口篭もる。
変な事言っている、と思っているのか。

いつも着けているのだから身体の一部も同然。
気恥ずかしさの原因は其処だろう。
まるで和宏自身が息を吹き掛けられたかのような反応。

何となく察して、瑠夜が口許だけで笑う。
尚更丹念に磨くのは、返すのが少し惜しくなった所為。


そんな遣り取りが続いても、いつまでも一緒に居られない。
雨脚が弱まらないまま分かれ道。
傘から抜けようとする和宏を引き戻して、立ち止まる。

「此処までで良いよ、俺バイトあるから……」
「でも、和の傘でしょう?」
「良いって、終わる頃には止んでるかもしんないしさ。」
「そう云う訳には……」


譲り合いも押し問答のまま平行線。
相手の手を取って歩き出したのは、瑠夜だった。
浅い水溜りを踏み越え、目指す先にはカフェ。

「店まで送りますよ。」
「うん、傘は瑠夜が持って行って良いから……」
「それと……、夕飯もご一緒しませんか?」
「えっ?」

別の話を振られて和宏が首を傾げる。
提案は全くの突然、無理もない。


「今度は僕の分も持って来ますし、止んでたら和の傘お返ししますから。」
「迎えに来てくれる、て事?」
「ええ、何処かで食べるのでも……何なら僕の家でも構いませんよ?」
「ん、嬉しい……けど悪いって、そんな。」

頷きながらも、やはり遠慮が先立ってしまうらしい。
そうしたいのは山々、と云ったところか。
だったら背中を押すまで。

雨を避けて、軒先に引き込んだ身体二つ。
泥だらけのスニーカーの爪先立ち。
背伸びして瑠夜が唇を重ねた。
不意の口付けは一瞬、傘で隠されて人目には留まらず。

「先にお礼貰いましたからね、此れでフェアでしょう?」
「ちょ……ッ、瑠夜………」

どれだけ照れたって、和宏は拒まない。
離れた後で慌てるのもいつもの事。
瑠夜が静かに笑おうと、隠された色に気付かないまま。


今度は自分の傘も持ってくる、なんて真っ赤な嘘。
何故かってもう此処には2本あるのだ。
瑠夜の鞄の奥、実は眠ったままの青い折り畳み傘。
和宏には黙っていたけれど。

全部、瑠夜がそうしたかったからの事。

一つの傘を分け合っての帰路も。
迎えと、夕飯の約束も。
少しでも長く和宏と過ごす為。


「それでは、また夜に。」
「あ……っ、うん、待ってる。」
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