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== 永桃学園日誌 ==

ラッピングペーパーの裏は赤(リリィ+深砂)

設定は此方から

オレオの塔の続き。
友愛バレンタイン、夜の部(1年生時)。


「もしもーし。」
「チョコどーも。」

耳元をくすぐったリリィの声はメールと同じ言葉。
受け取る部分の違いで別物になるものだ、と考え込みながら深砂は寝転がった。
至近距離では眩しすぎる携帯も、灯りの落ちた部屋には小さな光。
せいぜい脱ぎ散らかした物の位置が判る程度か。

毛布に包まったままの通話は再び眠ってしまう危険も含みつつ。
一眠りはしたけれど、まだ14日。


「っつーか、和磨は良いのかよ?」
「大丈夫、お風呂だから30分は出て来ないよ。」
「ヤッた後に他の男に電話とか……悪い女だな、お前。」
「イイ女じゃないもん、私。」

咎めると云うよりは、呆れたような笑いを堪えるような。
何も知らない自分の男に疚しさは一欠けら。
色気無く、深砂の方もさらり流す。


「食える方でも良かったんに……、若しかして気ィ遣わせた?」
「ううん、特別と云うか、そんなとこだから。」

鈴咲とココア色のカップケーキを焼いたのは昨日の放課後。
寮の台所は女帝の城なので、家庭科室を借りた。
材料も身近だし一度で大量生産が可能、二人で分けても山が出来る。
それに何より美味しかった、女性陣が食べたかったのが本音。

しかし問題は、甘い物を口にしないリリィの分。
ありがたく受け取るとは言ってくれたものの、喜ばれなくては意味が無いのだ。
贈る側が愉しむだけの物になってしまうのは避けたい。
深砂なりに悩んだ末、一人分だけバター風味のままのケーキ。
代わりに、とチョコレートの香りのリップクリームを一緒に包んだ。
乾燥する季節の心遣い。


「……で?何で部屋の前に置いて行ったりしたん?」
「いやぁ……普通に渡すんじゃ面白くないかなー、なんて。」
「面白味とか要んのか?」
「ちょっと面白すぎたみたい、だね。」

投げ掛けられる疑問に深砂は笑う、が、誤魔化せただろうか。
手作りなんかどんな顔で渡せと!
実のところ本当の理由は此方なのである、純情乙女でもあるまいし。

如何云う訳か足が竦んでしまい、自分で驚いた。
前日まではこんな事態予測してなかったのに。
本命も含めて他の者に渡す時は冗談さえ言える余裕も存分にあったのに。
結局、取った方法がピンポンダッシュ。
居るのを確認してからベルを鳴らして、リリィが出てくる前に退散した。
と云うか逃げた、正しくは。
今だって、正直に言っておけば笑い話になっただろうに。


「お返し、何が良い?」
「…………えッ?!」

先程の嘘に対して頭が一杯だったもので思わず素っ頓狂な声。
加えて、見返りなど考えてもいなかったのも事実。
欲しい物なら一つ二つあった筈なのに、好機が来ても浮かばない。
さて如何したものか。
またもや悩んで、閃いて、決定に小さく頷く。

「リリィさんに一ヵ月の宿題。」

電話の向こうで相手が眉を顰めた気配。
感じ取り、今度は本気で笑う唇。

「俺に任せる、って意味なん?」
「そう云う事、ただ相手の欲求に応えるだけじゃイイ男とは言えないし。」
「んー?俺は深砂の意見を尊重して言ったんだぜ?」
「あ、形あっても無くても構わないけどアレと等価だと思う物だからね。」
「つまり何でも良いって事ねー、待ってな。」
「うん、待ってるよ。」


願い事が無謀なのは百も承知。
けれど、自分ばかりが考えさせられるのでは面白くない。
こうして来月を迎える楽しみが一つ増える。
約束は、言葉だけで妙に甘ったるく。
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