== スポンサー広告 ==

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
┗ --:--:-- ━ Page top ━…‥・

== 梅染街 ==

一匙の星(楔波×和磨×紫亜)

*同性愛描写(♂×♂)
三人組でクリスマスSS書かせていただきました!
日付は当日になってますが、上がった傍から公開しちゃいます(笑)。

今年は和磨もカフェでバイトさせていただきまして…
実は瑠夜×和宏Verも考えてたり。
時間あったら、年末までにはそちらも書いてあげたいなぁと思ってますっ!


今日は街中が幸せな空気に包まれていた。
賑やかな店内はコーヒーの湯気で満ちて、お腹の中まで暖める。
働き詰めの僕も自然と笑みになる程。
途切れないお客さんを迎えては、ケーキの箱と共に送り出す。

水色のエプロンを締める雑貨屋じゃない。
お菓子の祭典日でもあるクリスマス、「SweetSmack」は大忙し。


年末年始ともなれば何かと物入り。
時間があれば少しでも稼ごうと、二週間だけ入ったバイト。
今までも何度か手伝った事があるし初めてでもない。
普段から接客業なら慣れたもの、レジも打てるしラッピングも得意。

「SweetSmack」名物と云えばケーキと可愛い衣装。
背中に小さな翼の生えた純白を纏って、此処での僕は天使。
金茶の巻き毛にも、髪留めの星屑が揺れる。
赤や緑が色鮮やかな中では大人しい方か。
別に女装でも抵抗無いけどね、流石に僕の身長じゃ無理。

思えばクリスマスケーキの予約のチラシ配りから着ていた衣装。
袖を通すのも今日で最後、終業30分を切った。
持ち帰り用の箱にケーキを詰めながら時計を確認する。


店内も勿論混むけど、家で過ごすお客さんも多い。
ご馳走を囲んで大事な人と一緒に暖かな時間。
本来クリスマスとはそう云う日。
まぁ、僕も……帰ったら三人で過ごす訳なんだけど。

キャンドルの灯りで静かに過ごしたのは去年の話。
玄関開けたら真っ暗で驚かされたっけ。
特別な事、は今年もあるかな。

関係が続いていても、あの頃と少し違う心情。
いつまでも弱気で居る訳にもいかない。

今では信じられる、楔波も僕の事を想ってくれているって。
散々泣いた末に漸く思い知らされた。
そもそも紫亜が居なきゃ何も始まらなかった。
感情は変わらない、意味が違っても二人とも好きだと。

ああ、やっぱり駄目だ……
離れている時間も作ろうと思ってバイト増やしたのに。
また双子の事ばかり考えている。


「あ、いらっしゃいませ!」

そうこうしてる間に入り口に人影。
顔を上げた瞬間、出迎えの為に向かった足が失速した。

並んだ黒と栗色の髪に、二対の金目。


「何故だ……、何故此処に居る……」
「来ちゃあかんのか?」
「和磨こそ変な奴さね、何で隠れようとしてたんだか。」

無表情の楔波と喉で笑う紫亜、至っていつも通り。
僕だけが慌てるのも含めて。

とりあえず席に案内して、少し声を抑えての会話。
ケーキを買うついでにお茶していくらしい。
もうすぐ僕も帰宅だから迎え、と云うよりも、からかいに。
紫亜に捲られた裾を直しながら咳払い。


「コーヒーお二つ、以上で宜しいですね?少々お待ち下さ……」

早々と注文を取って踵を返そうとした時。
走り書きのペン先が滑った勢い、手から落ちてしまった。
そのまま転がってテーブルの下。

屈んで覗き込むと幸いすぐに見つかって、手を伸ばす。
ペンに届く直前、骨張った指先と交差する。

拾おうとしたのは僕だけじゃなかった。
狭くて影の濃い中、光る金色。
思わぬ近さで楔波の視線に射られて、心臓が跳ねた。

「い、良いってば……、僕が拾っ……」

喉で小さく笑う声。
緩く伏せた瞼。
僕の言葉を途中で塞ぐ、唇。

後頭部に、鈍い衝撃。




「それじゃ……、短い間でしたが、ありがとうございました……」

痛みで項垂れた頭をますます下げて一礼。
ドアを開けると冷たい風。
両隣の双子と連れ立って、ケーキの箱を抱えての帰宅。

テーブルの下、楔波から不意のキスは本気で驚かされた。
交わされたのは一瞬、誰も見てない場所で。

反射的に立ち上がろうとしてしまったのが不味かった。
思いっきり頭を打ち付けて、星が飛んだ。
丁度当たった部分に髪留めもしていたものだから、痛みも倍。

蹲って呻き声を上げている僕は、相当辛そうに見えたらしい。
時間も残り僅かと云う事もあって早めの退勤。
それに伴って、来たばかりだったのに二人も席を立った。
コーヒー飲み損ねちゃった訳だけど、良いのかな……
帰ったら今度こそ三人分淹れないと。


「あーらら……コブ出来てるさね。」
「痛い痛いっ!ちょ、マジで……そんなに酷い?」

不意に、隣から伸ばされて絡む冷たい指先。
巻き毛を弄りながら紫亜が囁く。
思わず悲鳴を上げる僕を眺める金色は、可笑しそうに。

ふと視線を感じた反対側。
もう一方、楔波が冷めた金色を突き刺す。

「俺らが来たの迷惑みたいやったな……、お前。」
「そうさねぇ、楔波にキスされても嬉しそうじゃなかったし?」
「違っ、そんな訳……!」

紫亜は確実に解かった上での言葉。
けど楔波の方は冗談とも本気ともつかない、どちらも有り得る。

そう云えば、先程からずっと僕は俯き加減だった。
眼を見て伝えなきゃ納得しない相手。
深呼吸一つ、顔を上げて二対の金色に立ち向かう。

「僕はもう、二人が居なきゃ駄目だよ……驚かされてばっかりでも。」

降参の意をたっぷり込めて。
ちゃんと答えになっているのかな、此れは。

言葉は無いままでも、二人とも口許を少しだけ歪ませた。
両の袖を緩く引いて「早く帰るぞ」のサイン。
熱いコーヒーを飲んだみたいに、お腹の中から嬉しさが湧き上がる。


「ところで、チキンって何処で買おうか。」
「ん?今年は和磨が作ってくれないのさね?」
「鶏やったら、こないだの……あれが良い、美味かった。」
「え、あれ、って……水炊きだよ?!」
「良いじゃないさねぇ、クリスマスに鍋したって。」
「何か問題あるんか?」

何処か釈然としない気持ちは無理やり呑み込んで。
沁みる寒さも、しつこく続く痛みも。
特別な事として、クリスマスの日に刻まれる。



*クリックで応援お願いします

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ

スポンサーサイト
┗ Comment:0 ━ 22:15:20 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。