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== 永桃学園日誌 ==

オレオの塔(進之助+深砂)

設定は此方から

友愛バレンタイン、夕方の部(1年生時)。




夕暮れの帰り道、二人きり、ラッピングされた箱。
至極真面目な顔は冷たい空気に引き締まって少しばかり赤い。
2月14日には相応しい光景、ではあるけれど。

「渡す相手、間違えてない?」
「友情チョコだもん。」

進之助の記憶に新しい単語。
その時は「あげようか?」との笑いを堪える声だったけれど。
先日、買い物へ行った際に和磨の口から聞いた。
吼える勢いで拒否するついで、手加減しつつも小突いてやったのを思い出す。
しかし今回は相手が違うので対応も変わる。

押される気配さえも薄く感じて思わず受け取った。
箱を両手で差し出しているのは、深砂。


街の何処へ行こうともバレンタインフェアばかりが目に付く。
お屠蘇気分が抜けた頃からなので、もうかれこれ一ヶ月以上に及ぶ。
イベント事に浮き足立つのは恋人同士。
ルームメイトにも「今夜は居ないから」と恥じらいながら言われた。気味が悪い。
そう云う訳で一人きりの帰り道だった。
コートの裾を背後から引っ張られたのは校門付近。
振り返った先に居たのが、其の和磨の彼女だったのだから驚いた。

曖昧な距離を保って、もうすぐ一年近く。
進之助にとって深砂とは“友達の彼女”と云う何とも微妙な位置関係。
苦手ではないにしろ如何接して良いのかいまいち掴み兼ねる。
それも今、間に立つ和磨は居ない。

「もっと早く渡そうと思ったんだけど遅くなっちゃった、ごめんね。」
「いや、謝らなくても……、貰えると思ってなかったし。」

最初から考えもしなかったのは全くの事実。
断る理由も無いのだが、貰う理由も明確には見つからず。
目的を果たした筈なのだし立ち去ると思いきや、歩幅を合わせて横に。

「あ、和磨君からじゃないからね、私があげたいって思ったからだよ?」
「いやいや、和磨からだと思ってたら受け取らないし!」
「そう?だっていつも一緒じゃない、タレ目が伝染りそうなくらい。」
「病気かよ!?それなら槌谷さんが真っ先になるんじゃ?」
「私は大丈夫、ツリ目ってゆー抗体持ってるから。」
「あ、そう……」

わざわざ両の人差し指で下げてご丁寧に。
離すと鋭い褐色が進之助を射り、有無を言わせなくする。
“いつも一緒”と云うのが密かに引っ掛かっていても。
部屋もクラスも同じなのだから何も可笑しくはない筈なのに。
少なくとも進之助はそう思っていたし、和磨も同じだろう。

「和磨君、進ちゃんの事好きだと思うよ。」
「…………え?」
「バレンタインは告白も付き物でしょ、だから。」
「だから、の意味も解んないし……」

如何にも返答が追いつかず、項垂れて口篭もってしまう。
其の点は和磨と同じではあるものの深砂の場合は意図的と窺える。
此処に来て初めて見せた笑みは、ニヤリと。

「それだけで進ちゃんは特別な人だよ、和磨君て友達作ろうとしないし。」
「あー、和磨って変だしな。」
「間髪入れず言ったね、でも仲良くしてくれるんだ?」
「まぁ確かに和磨って他の友達とは明らかに違うけどよ、色んな意味で。」
「私も好きな人居るけど……、そーゆー意味なら。」
「へぇ……」

含みが混ざった口調に気付いても其処から先には踏み込まず。
一瞬通じ合えた気がして、返したのは相槌だけで充分。
小さな笑いで綻んだ口許から言葉が零れる。

「和磨は変だけど、槌谷さんは変わってんね。」
「ああ、うん、その違いは大きいね。」


今夜、きっと反芻するであろう言葉。
一人きりの部屋で食べるチョコレートは甘いか、苦いか。
答えは箱の中に。
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