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== 梅染街 ==

血の通う椅子のささくれ〈2〉(紫亜×和磨)

*同性愛描写(♂×♂)
長くなってしまったので、前後編に分けました。
丁度良いサイズだと思うし膝抱っこが書きたかったのです(´∀`*)

配布元alkalism様より。


「やー……、それも違うって、そうじゃないよ……」
「あれ、そうさね?じゃあ正解はっきり言って欲しいんだけど?」

すっかり困ってしまい、和磨が降参を口にする。
受身しか経験が無い為だけじゃない。
立場の交代を申し出されても最初から不満なんて無いのだ。
どんなに遊ばれても、結局のところ望んだ事なのに。

其れは、和磨が考えていた事とある意味近く。

ページを捲る度、可愛らしい絵柄と裏腹に大胆な行為が続く。
しかし、飽くまでも恋人同士のもの。
紫亜も誰か一人を見つけるのだろうか、いつか。

二度目のキスを交わしたのは、冷たい夜に繋がった時。
「ずっと好き」「愛してやる」の言葉を深い場所に刻み込まれた。
乱れた関係に対する呪縛でもあれば、同時にもう一つ。
和磨を離さないと、誓いにも似た響き。
紫亜との間にあるものは恋ではない筈なのに。

"今"を永遠であると思ってはいけない。
和磨が要らなくなる日は、近い将来かもしれないのだから。


「父親みたいな事言うのさね、和磨ってば。」

声に混ざり込む色は、呆れだか笑いを堪えるものだか。
溜息一つ、紫亜が体勢を入れ替えた。
和磨の膝に横座り、首に細い腕を絡めて抱き着く。

「娘が成長したら何処かに嫁いじゃう、て心配にそっくり。」
「わぁ、客観的に見ると馬鹿みたいだ僕……」
「大きくなったら和磨と結婚する、とか言って欲しい?」
「もー、またからかって……で、でもさ……」

運命の相手とは一人一人に決まっている筈なのだ。
少なくとも、密かに和磨はそう信じている。
紫亜にも存在するなら、申し訳ない気持ちになってしまう。
こうして自分が傍に居ても良いのだろうかと。

一方、紫亜からすれば杞憂だとでも言わんばかり。
恋ねぇ、と呟くも全く他人事のように。

「俺は前にも言ったさね、興味あってもそんな気は無いって。」
「分かんないよ……、知らない間に堕ちてるものだもん。」

口篭もる和磨が指すのは、楔波の事に他ならない。
運命だと胸を張って言えなくとも。
それでも、愛だけ信じて形振り構わず飛び込んだ。

「でも和磨が楔波を好きになる事初めから分かってたさね、俺は。」
「えっ……いや、確かに、最初から惹かれてたけど……」
「そうなれば自動的に俺の手にも収まるし、思った通りになったさねぇ。」
「此処まで見透かされてたとか……やっぱ怖いな、紫亜……」


天秤はいつでも正直だ、二択に掛ければ大事な方を選び取る。
そうやって和磨は軽い物を捨ててきた。

今となっては比べるまでもなく、一つの愛に傾く天秤。
重みが他の物と桁違いなのも当然。
楔波の載る側には紫亜も居るのだ、切り離せずに。


「ねぇ、和磨……キスしても良い?」
「えっ……な、何で……」


いつもなら、玩具で遊ぶ上でのルール違反。
紫亜だって当然知っている事。
丸くした眼で狼狽する和磨に、だって、と続ける。

「今なら駄目って言わないと思うから、絶対。」

確信犯。

元から息の掛かりそうな距離。
更に近付き、真っ赤な舌で和磨の唇を舐め上げる。
微笑まれたら閉ざす事が出来ない。

「唇の傷、治ったみたいさね……」
「っん……も、平気……」

濡れた声で囁き合って、再び無言になる。
塞がれた唇からは水音だけ。



誤魔化せた、だろうか。


キスの間、実のところ和磨は酷く怯えていた。
紫亜が怖いのではない。
触れ合った部分から、本音が流れ出やしまいかと。

今まで吐いた言葉に嘘なんて何も無い。
ただし、心中の全てではない。

忘れられたように床に広げられた漫画。
薄目の視界、片隅に映る。
中身を思い出しながら、密かに確信する。

あの少女よりも、紫亜の方がずっと可愛い。

そんな事、当人は知らないままで良い。
此れだけは言えやしないのだ。


窓の外、まだボールを追う声は背後で続いている。
終業のチャイムも遠い時間。
楔波に見られてもやめてはくれないだろう。
クラスメイトが戻ってくるまで、小悪魔は膝の上。


*end

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