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== 永桃学園日誌 ==

気侭なサキュバス(進之助+楓)

設定は此方から

男の子ですから。


高い棚の前で爪先立ちする後姿。
飛び跳ねても届かず、見かねた長身の青年が代わりに手を伸ばす。
一昔前の少女漫画なら恋が芽生えるシチュエーション。

「先輩、コレで良いん?」
「どうもな、守さん……あ、そっちの触手モノも。」


残念ながらと云うか、何と云うべきやら。
小道具もキャストも場所も大間違い。
此処は男の聖域、レンタルビデオ店のAVコーナー。



狙い目は、ルームメイトが出掛けて部屋で一人になる休日。
開店直後に借りて日帰りで返せば料金も安く済む。
迂闊に置いたままだと、期限日過ぎまで隠してしまう女王が居るので。
一度も観ていないのに延滞料金だけ取られるのは流石に痛い。

手に取ったDVDをパッケージごとを楓に渡し、借りるか否かを待つ。
二人で居る時、高い位置の物を取るのは何時の間にか進之助の役目になっていた。
いちいち踏み台を持って移動する訳にも行かないのだし。
そうして、楓が頷いたところで放られるのは進之助のカゴへ。
楓自身もカードはあるし其の分の会計は払うものの、レジに持って行くのも後輩の役目。

と云うのも、あちこちに記された「18歳未満お断り」の所為。
思春期の男子には”生活必需品”と言い切れるのだから咎められても困るのだが。
小学生にしか見えない楓に貸してくれる程、店員は甘くない。
下手すれば、私服だと「お嬢ちゃんは10年経ったらね」とか言われるらしい。

余談だが、女子に間違われて襲われた黒歴史さえある。
「変質者注意」の警告が触れ回った、去年の暮れ。
夜道で背後から抱き付かれて下半身を触られたのだとか。
……変質者の方が悲鳴を上げて逃げたが。
ちなみに永桃学園で被害に遭った他の生徒は一人も居ない、女子を含め。
以来、ぱったりと変質者が出没したと云う話が出なくなったので。


「ま、本来ならそーゆー欲望は妄想で発散させるモンだけどな。」
「こんな事しか言えないけど……大丈夫っすか?」
「ああ、そんな程度じゃ俺にトラウマなんか残せないって。」
「逞しいね先輩、俺なら寝込むよ……」

痴漢モノのコーナーを前にしての表情は如何にも複雑。
苦い会話は其の辺りで打ち切り。
数歩移動すれば、また別のジャンルが並ぶ。

「特撮AVとか色々凄ぇよな、無駄に凝り過ぎてて笑えるけど。」
「うわっ、コレ思いっきりセーラームーンじゃん!」
「お、ポワトリンのパロめっけ……小さい時に流行ってたっけなぁ……」
「え?」

美少女仮面ポワトリン
放送日:1990年1月7日~12月30日

「……先輩、今年で幾つでしたっけ?」
「……気にするな。」


それにしても、立ち並ぶ欲望の形はあまりにも多種多様。
視線を巡らせると圧倒されてしまう程。
パッケージだけで顔を顰めてしまう事もあり、理解できない物も少なくない。
世の中に存在する数え切れないフェチズムの極一部。
膨大な数が所狭しと肩を寄せ合う棚に囲まれている場所なのだ。
改めて意識すると、進之助は迷路に入り込んだ気分になる。

また、冷静な目で見れば時には笑ってしまう事もある。
其れが何処かの誰かには堪らない物であっても。
現実味は後回し、少しの間だけ妄想に浸れれば其れで良い物なのだ。


「俺は二つで良いや、一週間レンタル分があるから先に会計してくる。」
「じゃ後でな、先輩。」

楓の場合、あまり長居をしていると店員が飛んで来る。
一旦の別れに軽く右手を上げた反対側。
何気なく進之助が視線を落とした先に、他の映画が入れられた楓のカゴ。
覗こうと思ったのではなく、飽くまでも”見えた”タイトルは……

「スペース・プリンセス~銀河ボディコン伝説~」
「死霊の盆踊り」
「グルメホラー 血まみれ海岸人食いクラブ 地獄のシオマネキ カニ味噌のしたたり」


せんぱぁぁぁいッ?!!


何と云うか、もう。
極彩色のエロスなんかよりずっと大きな衝撃。

早々と楓はカーテンの向こうに消え、一人きりになった空間。
ツッコミのタイミングを逃した進之助が取り残された。
自分のを選ぶのも忘れて立ち尽くしたまま。


身近だと思っていた人物ほど、いきなり他人になる瞬間は多かったりする。
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